食生活が乱れる背景には、食事を抜いてしまったり、栄養が偏ったメニューを選んでしまったりすることが考えられます。このような時に不足してしまう栄養素には何が挙げられるのでしょうか。
「食生活が乱れることで不足する代表的な栄養素としては、野菜や果物に多く含まれるビタミン、ミネラルが挙げられます。ビタミン、ミネラルの重要な供給源である野菜は1日350g摂るのが理想。量の目安は生の状態で1食あたり両手いっぱいくらいですが、これは3食しっかり食べても摂るのが難しい量です。そのため、1食抜いてしまうと、ビタミン、ミネラルの理想的な量を摂れない可能性があります。
また、外食時に空腹を満たすことを優先してしまうと、ついごはんや麺類を選びがちに。すると摂取する栄養素が糖質や脂質に偏ってしまいます。バランスの良い食事を意識しないと、果物や野菜をほとんど摂っていなかった、なんてことにもなりかねません。
ビタミン、ミネラル不足は身体にさまざまな悪影響を及ぼします。ビタミン不足は肉体疲労やめまい、むくみ、肌荒れ、口内炎を、ミネラル不足は運動能力や免疫力、骨密度の低下や貧血を起こします。
また、1食抜いたことで生じる空腹感から、2食目をいつもより多く食べてしまうために起こる“血糖値スパイク”にも要注意。一度に大量の糖質を摂取することで血糖値が急上昇・急降下し、眠気や身体のだるさ、イライラ、頭痛、吐き気といった症状が現れる場合もあります」(北嶋佳奈さん)
栄養不足になると、肉体疲労や免疫力低下など、身体にさまざまな悪影響を及ぼすことが分かりました。ではスープはなぜ栄養を摂取しやすいのでしょうか。
「いろいろな栄養素が含まれる野菜を大量に摂取するのは大変ですが、煮込むことによってかさが減り、食べやすくなります。これがスープが栄養を摂取しやすい大きな理由です。また、野菜に多く含まれる栄養素にはビタミンB群やビタミンCなど、水に溶けやすい水溶性のものが多くあります。これらは洗ったりゆでたりするだけで水に溶けてしまいますが、スープなら煮汁ごと摂取できますので、大切な栄養素を逃がすことなく、効率良く摂ることができます。
また、リコピンやベータカロテン、ビタミンA、ビタミンEは脂溶性ですので、これらの成分や栄養素が多く含まれる食材を油で炒めてから煮込むと効率的に栄養を摂取できます。
さらにスープには身体を温める効果があります。胃腸の働きや血液の循環も良くなることで栄養素がスムーズに吸収される、という効果も期待できるのです」(北嶋佳奈さん)
効率的に栄養を摂取できるスープ。せっかくならおいしく作りたいですよね。そこで、どんな食材を入れるとスープがおいしく仕上がるのか、北嶋さんにコツを教えていただきました。
「スープをおいしく作るために必要なのが旨味です。肉や魚介類には旨味成分であるイノシン酸が含まれており、肉であれば脂が多い豚バラ肉や、鶏もも肉、魚介であればエビや貝類がおすすめです。また、キノコ類にもグアニル酸が多く含まれています。キノコ類はシメジ、マイタケ、シイタケなど複数種類を使った方がそれぞれの旨味が合わさり、相乗効果が得られるでしょう。
食材を切って煮込むだけなので、手間を掛けたくない時ほどスープはおすすめの料理。調味料も市販の和風だしや中華だし、コンソメを使って気軽に作りましょう。食材の旨味がしっかり出ていれば、おいしく仕上がるはずです」(北嶋佳奈さん)
ゴロゴロ根菜のミネストローネ
材料:2~3人分(※作りやすい分量)
作り方
小さめの乱切りにした根菜(レンコン、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ)とベーコンを炒めてトマト缶と一緒に煮るので、野菜がたっぷり食べられて満足感のある一品です。
いろいろキノコの和風豆乳ポタージュ
材料:2人分
作り方
数種類のキノコを使って、旨味を最大限に引き出す和風ポタージュスープ。だし汁で煮て豆乳を加えブレンダーやミキサーで滑らかにし、塩で味を調えます。
レンジで簡単!ひらひらダイコンと桜えびのエスニックスープ
材料:2人分
作り方
ピーラーで薄くむいたダイコンと豆苗、桜えびのスープ。レンジのみで簡単に作れます。桜えびの旨味とナンプラーの香りがエスニックな雰囲気を演出します。
10種類以上の食材を一つの鍋に入れてもおいしくなるのがスープの特徴。多くの食材で大量に作れば、よりおいしいスープを楽しめます。自分の体調に合わせて入れる食材を変えたり、必要な栄養素が多く含まれる食材を入れたりと、栄養バランスの良い食生活を実現するためにスープを活用してみてはいかがでしょうか。