仕事をしながら、ハンドメイド作家として活動中の『つめをぬるひと』さん(以下、つめさん)。彼女の作品はつけ爪です。独特なセンスで作品を作り上げます。
普段ネイルアートをしない人ですら、「おや?」と見入ってしまうユニークなデザインと、すべての作品に付けられた簡潔で秀逸なタイトル。思わず「クスっ」っとしてしまったり、はたまた、意味不明だけどなんとなくカワイイと微笑んでしまったり……見ているだけでも引き込まれるその世界観に、モデルやアーティストをはじめ、多くの人が注目しています。
どの作品もつめさんの独特なセンスが光っていますが、作品のアイディアはどこから生まれてくるのでしょうか?
「思いつきです。なんとなく爪を塗ってみて、爪に合わせて台紙を書いてみて、その雰囲気に合わせてキーワードをつけています。新しい作品は月に一回くらい、思いつきで完成したり、しなかったり……。」(つめさん)
つめさんが新卒で就職した職場は食品関係だったため、ネイルアートはもちろん禁止。その会社を退職した際の開放感から、「爪を塗る」ということに興味が湧いたそう。
「自分の爪に色を塗るのが楽しくて、そのあと転職した今の会社では毎日爪に何かを描いて出社していました。ある日、職場の人に『つけ爪にして売ったらどうか』と提案されたんです。昔からデザインフェスタや手作りイベントに行くことが好きで、その時期にちょうどあるハンドメイド作家さんに憧れていたこともあり、活動を始めてみることにしました。」(つめさん)
初めてのイベント出店では「あまり売れなかった」そうですが、めげずにイベント開催地を変えて再度出店。若年層のお客さんが多い吉祥寺や下北沢でのイベントでは反応が良く、場所を選んで出店することの重要性を学んだそうです。
平日昼間は、一般企業の事務職として働いているつめさん。平日の夜9時頃から12時頃まで作品制作をして、週末はイベントに出店、というリズムで作家活動を続けています。
「仕事だけ、もしくはつけ爪制作だけ、というのは恐らく、自分には向かないと思います。
今の仕事をしているからこそ、つけ爪制作とメリハリがついて両方続けていられる気がします。どちらかに活動を絞るということは今のところ考えていないです。」(つめさん)
日常生活の中で感じたちょっとした戸惑いや発見を、作品に反映することも多いというつめさん。一般企業でお仕事をされているからこそ、多くの人が共感できる作品が生み出せるのかもしれません。
身体の一部でありながら、気軽に変化を加えられるというところが「爪」の魅力だと語るつめさん。デザインする場所を紙や他の物にまで広げることはせず、あくまで「爪」という限られたところでどこまで活動を広げられるかを追求していきたいとのことで、最近、新たな活動も始められたそうです。
「音楽が好きなので、CDジャケットや、ライブイベントのフライヤーのデザインを爪に描く、という活動をしています。例えば、Dommuneというネット配信の音楽番組で、次回予告されていた放送内容に合わせ、あらかじめ爪にイラストを描いておき、当日にリアルタイムでTwitterで発信しました。するとそれが番組スタッフの目に留まり、収録に招待されたことがありました。
また、つけ爪ではなく、直接お客さんの爪を塗るという活動も始めました。イベント会場や公園で、事前に予約してもらって塗っています。」(つめさん)
あくまで「爪」というフィールドを極めて、ファンとの交流を深めるつめさん。Twitterやホームページなどのインターネットも駆使しながら、爪を媒介とした面白いことを、今後も企画してくれそうです。
人気がとどまることをしらないつめさんですが、「爪を塗り、ハンドメイド作品として売ってみる」という最初の一歩を踏み出さなかったら、今の自分はなかったといいます。
「どんなことでもいいので、自分の好きな方向に、好きな方法で一歩を踏み出してみてください。きっと新しいステージに進めるはずです」(つめさん)
たとえ仕事をしていても、好きなことを自由に。だからこそできることもあります。
みなさんも興味があることに、一歩踏み出してみませんか?
趣味をきっかけに、人気つけ爪作家になったつめさん。つめさんの作品が世に出るようになったのはイベントでの販売がきっかけだそうですが、最近はサイトやアプリで手作りの作品を販売できる「ハンドメイドマーケット」が盛り上がっています。その中でも、特に初心者の方にオススメしたい「minne(ミンネ)」の魅力をご紹介! 作家デビューに向けて、一歩踏み出してみませんか?
プロフィール
つめをぬるひと
爪作家
・CDジャケットやイベントフライヤーのデザインを爪に描き、そのイベントに出没した時の爪写真を記録する「出没記録」
・「身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪」というコンセプトで爪にも部屋にも飾れるつけ爪の制作
この2つの活動を並行しながら、年に数回、その場で爪を塗る「塗る企画」を実施するなど、爪でなにか面白いことができないかを日々企む。