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2019.11.29

漢字検定1級保持者が解説! あの漢字の意外な成り立ちや由来とは

漢字検定1級保持者が解説! あの漢字の意外な成り立ちや由来とは

普段、何気なく使っている漢字。実はこの成り立ちに、ユニークな物語が潜んでいることはご存じでしょうか?私たちの日常と切り離すことができない漢字の秘密を、漢字検定1級ホルダーの藤本正史さんに教えていただきました。これを読めば、漢字への興味が湧いてくる!

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普段使っている漢字の成り立ちや由来

普段使っている漢字の成り立ちや由来

「仕事にも慣れたし、30代で何かを始めたい」と一念発起し、生涯学習として漢字を選んだ藤本さん。今では漢字検定一級に32回連続合格を果たし、今も記録を更新中、という経歴の持ち主です。そんな藤本さんによると、漢字の成り立ちは大きく4種類に分けられるのだとか。

「漢字は大きく象形文字、指事文字、会意文字、形声文字に分けられます。象形文字は“山”など、目に見える物を線で表現する文字、指示文字は“上”“下”を代表に、漢字の位置関係で意味を表現する文字、会意文字は“岩”など、象形文字や指示文字などを二つ以上組み合わせて表現する文字です。そして形声文字は全体の約9割を占める文字。発音を表す漢字と意味を表す漢字を組み合わせて、新しい意味の漢字をつくる手法です。例えば“江”は、“工”が示すような『工事』と関連する意味はなく、大きな川を意味する漢字ですが、“工”が同じ“コウ”の音を持つことから、水を表す“氵(さんずい)”を組み合わせてつくられました」(藤本正史さん)

ついつい人に話したくなる!漢字の“面白い”成り立ち

日常でよく使われる漢字の面白い成り立ちをいくつか藤本さんに伺いました。

「“美”とは、本来大きくて立派な羊を意味しています。諸説ありますが、羊は古来より神にささげる献物として扱われていました。大きいほど良いものとされ、大きな羊は献物としての価値が高かったことから、大+羊=美の漢字が生まれ、『美しい』という意味を持つようになったと言われています」(藤本正史さん)

漢字検定1級保持者が解説! あの漢字の意外な成り立ちや由来とは

さらに、「すべての単位は漢字で表せます」と、藤本さん。今の日本ではカタカナやアルファベットでの表記が一般的なだけに、何だか意外ですよね。実際のところ、どのような漢字があるのでしょうか?

「例えば“糎”。読み方は“センチメートル”です。へんに使われている“米”が“メートル”の意味で、つくりの“厘(りん)”は100分の1を表す単位。同じように、1000分の1を表す“毛”、1000倍を表す“千”と“米”を組み合わせると、“粍”は“ミリメートル”、“粁”は“キロメートル”となります」(藤本正史さん)

漢字検定1級保持者が解説! あの漢字の意外な成り立ちや由来とは

ちょっと不気味?漢字の“恐ろしい”成り立ち

漢字は多くの戦いが行われていた時代に生まれ、その争いの様子を記すために使われていたことから、恐ろしい成り立ちが多く存在します。いくつか紹介しましょう。

漢字検定1級保持者が解説! あの漢字の意外な成り立ちや由来とは

「しあわせを意味する“幸”の成り立ちは意外とネガティブ。手かせをはめた罪人を表す象形文字で、“手かせをはめられる危険から逃れられて幸せ”といった意味合いがあります。このようなパターンは、結構あるんですよ」

「一方で、もとはポジティブな意味合いを持っていたのに、読みの音のせいで、ネガティブな意味合いになってしまった漢字が “不”。もとはふくらんだ花のガクの形から生まれた象形文字です。“胚”や“杯”に通じるような「ふくよか」という意味合いを持っていたのですが、この“フ”と同じ音だったことから、“口”を組み合わせて作られたのが“否”で、この漢字がもつ否定の意味が“不”にも転用された結果、そちらが中心となり、“不安”“不幸”といった打ち消しに用いられるようになったんです」(藤本正史さん)

漢字検定1級保持者が解説! あの漢字の意外な成り立ちや由来とは

読みにくいうえに由来も“?”な、難読漢字

漢字には常用外の漢字を使ったり、読みづらい漢字を組み合わせる『難読文字』というものがあります。例えば “鸚鵡”という漢字、どのように読むのでしょうか?

「答えは鳥の“オウム”。華やかな鳥であることから、貝の首飾りを身につけた女性の象形である“嬰”が入っています。実はこの“嬰”は“桜”の旧字である“櫻”にも使われています。なお、画数の多い漢字を覚えるなら語呂合わせがおすすめ。“櫻”の場合は、“二階(貝・カイ)の女が気になる”が覚えやすいと思います」(藤本正史さん)

漢字検定1級保持者が解説! あの漢字の意外な成り立ちや由来とは

知れば知るほど面白い「漢字の世界」

さまざまな成り立ちがあり、そこにさまざまな物語も潜んでいる漢字の世界。その漢字が生まれた背景には、「言葉を記録するため」という大きな理由があったのだとか。

「コミュニケーションツールとして言葉が生まれ、それを記す手段として文字が生まれました。紀元前1300年ごろのことで、象形文字が進化して亀の甲羅などに刻まれた“甲骨文字”が漢字のルーツ。その後、使い勝手の良い紙や筆が発明され、ハネやトメ、ハライを用いた漢字の形そのものにこだわる人々も増えていきました。こうして現代の漢字に近づいたのです。そして中国各地で生まれ、地域ごとに独自に進化した漢字の意味を取りまとめ、『漢字の統一』という偉業を成し遂げたのが秦の始皇帝。中国全土だけでなく、漢字も統一していました」(藤本正史さん)

「一つの漢字には多くの情報が含まれているもの。ユニークな成り立ちや怖い由来など、雑学的な知識も得られます。自分の名前や住所に使われている漢字など、身の周りにある漢字を調べてみると、意外な発見があるかもしれません。漢字を研究すると楽しいですよ」(藤本正史さん)

取材協力
藤本正史(ふじもとまさし)さん
漢字検定1級ホルダー。32回連続合格を果たしており、現在もなお記録を更新中。初めて漢字検定を受験したのは30歳の時で、漢字検定準1級に一発合格している。平成21年度 第2回漢検1級では192点もの高得点で合格し、日本漢字能力検定協会賞を受賞したことも。漢検生涯学習ネットワーク会員。横濱漢字の会代表。
  
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