今回インタビューしたのは、冒頭にも触れた「文房具図鑑」の著書・山本健太郎くん。
小学5年生から1年間かけて文房具について調べ、手描きのイラストと独自の解説文を1冊のノートにまとめた「文房具図鑑」を作成。6年生の時に夏休みの自由研究として提出した後、SNSなどでどんどん話題になり、ついには書籍として出版されるまでになりました。
でも、そもそも何がきっかけで「文房具図鑑」を作り始めたのでしょうか。
「小5の時に『消しピン』(消しゴムを指で弾いて落とすゲーム)が流行ってて、それに勝ちたいから一番大きい消しゴムを買おうと思ったんです。そしたら消しゴムの紙のケースの四隅に、微妙な切り込みが入っているのに気づいて。疑問に思ってインターネットで調べたら、消すときに圧力がかかっても消しゴムにケースが食い込まないようにするための工夫だったんです。
僕はそれがすごく面白いと思って、他の文房具のこともいろいろ調べ始めました。そこから文房具に本格的にのめりこんでいき、『文房具図鑑』を作ることにしたんです」(健太郎くん)
もともと「文房具図鑑」は自由研究で発表しようと思って始めたわけではなかったそう。しかし、頑張ったからにはみんなに見てもらおうと思い立ち、6年生の夏休みにラストスパートをかけて仕上げました。
「どんなに好きでも、100ページもあると、正直途中で飽きちゃうこともありました。だからページが埋まらないところはクイズを入れたりして、ちょっと工夫しましたね。完成した時はお母さんはもちろん、先生も友達もみんな褒めてくれたんだけど、自由研究の賞みたいなのはとれなかったんですよね……。本になるなんて思ってなかったから、賞をとるために頑張ってたんです。だからショックでしたね。文房具っていうテーマが、ちょっとシュールだったのかもしれないです(笑)。でも、結果的にその何倍にもなって返ってきたから、今は嬉しい気持ちです。
僕の周りも興味を持ったことを熱心に調べている子が多くて、すごいなあって思っていました。自由研究に何をしたらいいかわからないって子も多いけど、自分が好きなモノをとことん調べてみればいいと思います。賞をとるなら社会科の授業で習うようなものがいいかもしれないけど(笑)、テーマは文房具だって工作だってなんでもいいと思います、だって自由研究だもん!」(健太郎くん)
文房具の他にも、小さな頃から絵を描き続けていたり、漫画に興味があったり、音楽を聴くのも好きだという多趣味な健太郎くん。好きなものに囲まれたお部屋は、まさに夢の城のようでした。
「好きなものがあるのとないのとじゃ、やっぱり毎日の楽しさが違います。それに、好きなものがあることで自分に力を与えてくれると思っています。もしわからないことがあったら、調べたり人に聞いて話したりすると、もっと楽しくなる。そうやっていい方向に向かったら、ハマり続けられると思います。
今は中学生になって部活や試験もあるから、文房具について調べられる時間はあんまりないんだけど、時々ノートに絵を描いたりアイデアをメモしています。飽きないために。好きなことでもマイブームっぽく一瞬で終わっちゃうこともあるから、そうならないようにしたいんです」(健太郎くん)
中学生にして、好きなことがある楽しさ・幸せを噛みしめている健太郎くんは、本当にイキイキして見えました。最後に、そんな姿をお母さんはどう思っているのか聞いてみました。
「これだけ夢中になるものがあるってすごいなあといつも感じています。私自身も絵を描いたり何かを作るのが好きなので、熱中している時に邪魔されたくない気持ちはわかるんです。だから昔から価値を認めて見守るようにしてきました。
皆が皆、勉強が好きとは限らない。でも、たとえ漫画だったとしても、好きなことがあるのはとてもいいことだと思うんです。その大切さを子どもから教わることも多いですよ」(健太郎くんのお母さん)
山本健太郎(やまもとけんたろう)くん「文房具図鑑」著者
首都圏の中学に通う1年生。趣味は文房具集め、絵を描くこと、漫画を読むこと、音楽鑑賞。中学ではソフト・テニス部に所属し、日々部活と勉学にいそしんでいる。小学校6年生の時に自由研究で提出した「文房具図鑑」が話題になり、2016年3月に いろは出版から「文房具図鑑」を出版。アマゾンは常にランキングの上位に位置し、品切れになるほど人気を博している。
いかがでしたか? 健太郎くんのように「好きなこと」を見つけたい。そしてできれば、「好きなこと」を仕事につなげたい。けど、具体的にどうしたらいいのかわからない、と思っている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、ジャンルの違う2つの「好き」を両立させ、さらに仕事として活かしている、 フリーランスのフードコーディネーター兼イラストレーターとして活躍するwatoさんが、自分の道を見つけるまでのストーリーを追いました。
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