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2017.04.28

『旅行業務取扱管理者』資格をどう活かす?楽しい旅行業

『旅行業務取扱管理者』資格をどう活かす?楽しい旅行業

旅行業といえば就職先として常に人気がある憧れの業界。実際に携わっている方々は、一体どんなスキルを持っているのでしょうか? 今回は業界での必須資格とも言われる「旅行業務取扱管理者」について、All About海外旅行ガイドの中原健一郎さんに解説していただきました。

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業界歴20年の中原さんが見た、旅行業界の今と昔

All About海外旅行ガイドの中原健一郎さんは、学生時代から添乗員として数々の旅行をナビゲートしていたという経歴の持ち主。その後も立場は違えど、長らく旅行に関わる業務に携わっています。まずはそんな中原さんから見た旅行の魅力や、旅行業界の推移についてお聞きしました。

「私自身、これまで約110ヵ国を旅してきました。小さな頃から両親が国内旅行によく連れて行ってくれていたので、その影響もあって旅はずっと好きでしたね。私が旅行に魅力を感じている点は、まず普段味わえない非日常の世界に浸ることができること。もう1つは何と言っても、知的好奇心が満たされるということでしょうか。せっかく地球に生まれたのだから、知らない場所に行って知らないものを見てみたい。こういった本能的なものに突き動かされている気がします。
ここ数年で旅行業界の状況もだいぶ変わりました。一昔前の旅行会社は、その多くが大人数の団体旅行をメインに扱っていましたし、個人の方も今ほど便利に情報を収集できる状況ではありませんでした。ところが今は社員旅行などの団体需要が減り、個人でいくらでも情報を集められるようになった。またネットを介して、個人が簡単にホテルや航空券の予約までできるようになりましたよね。だからこそ、より専門的知識のある人材が求められるようになってきたと思うんです」(中原さん)

旅行に対する理解が深まる「旅行業務取扱管理者」の資格

旅行に対する理解が深まる「旅行業務取扱管理者」の資格

刻一刻と変わる旅行業界の状況を説明してくれた中原さん。「旅行業務取扱管理者」の資格は、これから旅行業に関わる人にとって持っていたほうがいい資格だと言います。

「旅行業務取扱管理者とは、旅の企画や立案、取引、実施にまつわる幅広い業務を取り扱うことができる資格。旅行業界で唯一の国家資格で、国内・海外の両方が取り扱える『総合旅行業務取扱管理者』と、国内のみの『国内旅行業務取扱管理者』の2種類があります。
旅行業を営む場合、業務を展開する上で1つの営業所につき必ず一人はこの資格を持っていなければなりません。ですので、取得していれば就職や転職の際に優位になるのは間違いないですね。国内、海外の両方を取り扱う事業所であれば、もちろん『総合旅行業務取扱管理者』の方が強みになります」(中原さん)

国家資格というだけで、かなりハードルが高い気がしてしまいますが、実際はどうなのでしょうか?

「基本的には誰でも受けられる(受験制限がない)ので、勉強すれば資格取得を目指せます。ただし、暗記するものがかなり多いので、試験対策はしっかり行ったほうがいいでしょう。特につまずきがちなのが、旅行業法と旅行業約款についての理解。初めて目にすると難しく感じて非常にとっつきにくい分野ですが、ここは覚えてしまえば確実に点が取れるところ。逆に、面白そう!と思って飛びつく人が多い国内観光地や世界観光地の方が膨大な知識を要求されますし、出題範囲が広いのでなかなかヤマをはりにくい分野でもあるんです(苦笑)。
けれども、旅行が好きなら勉強も楽しいですよ。こんなところがあるんだ!と、どんどん知識が広がって行きたい場所も増えますし、ツアーができあがっていく行程の裏側を知ることもできる。私はすごく面白いと思いましたね」(中原さん)

まさに、これは苦労して勉強した人しか味わえない醍醐味と言えるでしょう。旅好きならなおさら楽しいと思えるはずです。

これからはもっと「きめ細やかさ」が求められる時代に

これからはもっと「きめ細やかさ」が求められる時代に

冒頭でも、今後は「より専門的知識のある人が求められるように」なってくるだろうとおっしゃっていた中原さん。やはりここでも「旅行業務取扱管理者」の資格が活かされると言います。

「昔は団体旅行が主流だったのが、今はどんどん個人でカスタマイズできるようになって、旅行者の単位が小さくなっていますよね。だからこそ、きめ細やかな対応ができる規模の、小さな事業所が多くなっていくと思うんです。しかし、どんなに小さな事業所でも、絶対に『旅行業務取扱管理者』は必要。だから、今後どんどんニーズは上がっていくと思いますよ」(中原さん)

昨今はホテルや民宿でも競争力強化のために独自のオプショナルツアーなどを企画しているところが増えていますが、そこでも旅行業務取扱管理者の資格を持っている人が必要とされるそうです。

「さまざまな旅行の形が増えるとともにお客さんのニーズも多様化しているので、意向に沿った旅を作ることができる人、プラスアルファの提案ができる人、柔軟に対応できる人材が求められます。それにはやはり圧倒的な知識量が必要ですから、資格取得のために苦労して覚えたことはきちんと活かされるはずです」(中原さん)

何でもネットで調べられる時代だからこそ、相手が求めているもの以上の提案ができる人が重宝されるのは、どの業界でも同じこと。資格を取得したことで自信がつき、そこから一歩先を見据えられるスキル身につけられたら、きっと未来も明るいことでしょう。

文 河辺さや香

【取材協力】

中原健一郎(なかはらけんいちろう)さん
神奈川県生まれ、早稲田大学政治経済学部卒。大学在学中より休日を利用してツアーコンダクターの職務を開始し、通算10年間添乗業務に従事。修学旅行や林間学校を中心とする教育旅行を得意とし、多くの学生に感銘を与えつつ旅行業の研鑽を積む。
現在は都内専門学校にて旅行業務取扱管理者試験対策や観光学実務の講義を担当。来たる東京五輪に向けて次世代の国際派人材の育成に力を入れている。
■資格
総合旅行業務取扱管理者、一般旅程管理主任者、中小企業診断士、通訳案内士

  
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