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2016.08.01

ベンチャー企業の社員とドイツ料理店のシェフ 僕がダブルキャリアを選んだワケ

ベンチャー企業の社員とドイツ料理店のシェフ 僕がダブルキャリアを選んだワケ

ベンチャー企業の社員として忙しい毎日を送りつつ、週末はドイツ・ビアレストランでシェフとして活躍する山田さん。なぜ、週末は調理師として厨房にたつのでしょうか。2つの仕事の魅力を伺いました。

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会社員なのに現役のシェフ!? どういうこと?

会社員なのに現役のシェフ!? どういうこと?

――本業では、どんなお仕事をされていますか?

ウェブメディアの広告の営業活動と運用業務を担当しています。

――料理を始めたのはいつ頃ですか?

料理に関しては幼い頃から関心があったのですが、高校までは競泳を本格的にやっていたのでアルバイトをすることができず、大学から本格的に料理のアルバイトを始めました。

はじめのお店はイタリアンで、皿洗いからスタートしました。そこで、誰よりもお皿を早くたくさん洗うことで認めてもらい、1ヵ月半後には、サラダなどをつくる場所に入らせてもらって、前菜を作らせてもらいました。

その後入ったお店は17年ぐらい続く老舗イタリアンで、メイン以外の火を使う料理を担当しました。

そういった経験の中で、さらに料理への興味が高まり、自分がメインで料理をつくる場所を経験したいと思い、カフェの厨房で料理長のような仕事をしました。学生でしたが、生活費をすべて自分で稼がなければならなかったので、週に5~6日は働いていました。その後、他のお店を1件挟んで、今はドイツ・ビアレストランで、日曜日の夜の厨房を担当しています。

――会社はシェフの仕事をすることに対して、どのようなスタンスですか?

実は入社した際、こちら側から提示させていただく条件として、今働いているドイツ・ビアレストランの仕事を継続できること、というのを挙げました。

幸いにも、今の会社のCEOは実家が飲食店を経営している方で、また私の上司も実家がケーキ屋さんをやっているなど、飮食に対して理解がある方々だったこともあり、特に問題はないという形でオッケーをいただきました。

社員それぞれのWILL(実現したい目標)を尊重する、というポリシーを持っている会社なので、応援してもらっています。

会社員とシェフ。
2つのキャリアを持つメリットとデメリット

――大変なのに、何故あえて2つのキャリアを進むのでしょうか?

実は、飮食でお世話になった、最初のお店と次のお店の2店舗が、突然閉店してしまうという経験をしました。歴史があり、地元の人にも愛される本当に美味しいお店だったのに、潰れてしまったんです。

そこで、今までは料理人の腕一本でやってこれた時代だったかもしれないけれど、これからはそれに加えて、売上をつくる力や、集客する技術、仕組みづくりができないと戦えない、と感じました。

それでまずは、そういった技術を身につけてから、最終的に料理の世界に行こうと思ったんです。広告業界で学ぶことによって、自分のお店や料理の味を広めることができるようなノウハウを身につけたいと考えています。

――会社員とシェフ、2足のわらじで働くメリットとデメリットを教えてください。

会社員として働き始めてから、知らない人となにげない世間話ができるというのは、意外と重要なスキルなんだなということを感じました。これは飮食で身についたスキルだと思います。

今働いているお店はキッチンとホールの境目がなく、自分がホールに出ていってお客さんの接客をすることも多いので、そういった経験が営業の仕事の際にも役立っています。

飮食の人として会社を見ると、お店のメインターゲットである会社勤めの人が周りにいるので、会社勤めの人のリアルな意見や気持ちを知ることができます。金曜日の夜にどんな気持ちで飲みに来ているかとかですね(笑)
あと、今働いているお店が渋谷にあるので、お客さんがIT系の人が多くて、広告系の話で盛りあがったりすることもできますね。これは他のシェフはできないと思います(笑)

また、自分のクライアントさんがお店に来てくださることが多く、お客さんと仲良くなりながら、お店にも収益をもたらすことができる一石二鳥的な嬉しいこともあります。

仕事を掛け持ちするデメリットはプライベートな時間がないのと、体力的にキツイことですが、両方好きなことなので、まったく苦にならず毎日楽しいです。

大変だけど楽しさも2倍!
会社員とシェフという仕事の魅力は?

大変だけど楽しさも2倍!<br>会社員とシェフという仕事の魅力は?

――会社員とシェフ、それぞれの仕事の魅力は?

今自分が会社員として携わっている広告の仕事は、技術の進歩が早く、自分たちより上の世代の人たちには、まだ詳しい人があまりいない領域です。
そのため、専門的な知識を身につければ、若くても上の世代の人たちと対等に勝負ができますし、クライアントのニーズがたくさんある勢いのある分野なので、業界全体の動きがダイナミックで刺激的です。そして、広告の運用に関しては数字としてはっきり結果が出て、明確にお客さんに貢献できたのがわかるので張り合いもあります。

シェフの仕事はやはり、食べてくれたお客さんの「美味しかったよ」という感謝の言葉をダイレクト聞くことができる点が嬉しいですよね。
あとはお店が忙しくなった時、自分1人で最大6つぐらいのフライパンや鍋を同時進行で動かして違う料理を作るのですが、これをすべていい感じに調理できた時の達成感は凄いですね!
お客さんからいただく無茶振りの注文にうまく答えて、満足させられる物がお出しできた時の喜びもあります。「ジャガイモを使ったパスタが食べたい」みたいな感じのオーダーです(笑)

2つはまったく違う分野の仕事ですが、お客さんに提案をしたものが、結果としてわかりやすく返ってくる点は共通していて、プレッシャーもありますが一番やりがいを感じる部分ですね。

ダブルキャリアという生き方、夢の過程を楽しみたい

ダブルキャリアという生き方、夢の過程を楽しみたい

――将来的にはどんなことをやりたいですか?

飮食で自分のお店を出すというのが目標です。理想を言うと、自分の好きな人たちが集まるようなお店ができたらいいですね。

自分が競泳をやる中で感じたことなのですが、競泳の世界というのは上下関係がなくてとてもフラットな世界なんです。特に上のレベルに行けば、最年長で初めて代表になる人もいれば、最年少でオリンピックの金メダルをとるような選手もいるので、年上が年下にアドバイスを求める、という場面が普通にあります。
そういう中で育ってきたので、肩書や年齢、立場などに関係なく、みんながフラットで個人を尊重できるような、楽しい場所がつくれたらいいなという想いは昔から漠然と抱いていました。

飲食店というのは、美味しいご飯やお酒によって、楽しい気持ちになりいつもよりもリラックスできて、普段は明確にある上司と部下といった上下関係がゆるやかになって、フラットに近くなる場所ですよね。
そういう空間は飮食店以外にはないと思っているので、やはりそういう場所をつくりたいなと思います。

いつまでにというのは明確に決めていないのですが、早くて40代くらいかなと思っています。まずはいま自分がやっている広告の仕事で10~15年ぐらい経験を積んで、専門領域をつくってから飮食の世界に行けたら良いかなと思っています。
今あるお店で働かせてもらえる限りは、このまま2足のわらじのダブルキャリアで全力疾走していきたいです!

――山田さん、本日はありがとうございました。


体力的にはハードでも、両方自分が好きなことをやっているので毎日が充実していて楽しい、という山田さん。将来、山田さんがつくりたいというお店が楽しみです。
世間の常識や固定観念に縛られず、自分のやりたいことにチャレンジする人生というのは魅力的ですね。心が惹かれるものがあれば、まずは少しずつからでもいいので、実際に試してみるのが良いのではないでしょうか。

ジャンルの違う2つの「好き」を両立させよう!

プロフィール

山田勇人さん

1991年生まれ
サムライト株式会社ソリューション本部 所属
ドイツ・ビアレストラン フランケンシュタイン シェフ

将来は自分のお店を出したいという夢に向かってダブルキャリアを爆進中。

  
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