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2015.12.07

トップマーケターに聞く、セルフマーケティングで築くキャリア戦略の方法

トップマーケターに聞く、セルフマーケティングで築くキャリア戦略の方法

多くの日本企業において終身雇用が保障されなくなった昨今、自分の人生は自分で切り拓いていくという考え方が重要になってきています。そのような時代に欠かすことができない「自分の価値を高め、適切に評価してもらう」セルフマーケティングについて、トップMBAマーケターの安部徹也さんが解説します。

  • シゴト

まずは、自分の人生は自分で切り拓いていくという強い意志を持とう

まずは、自分の人生は自分で切り拓いていくという強い意志を持とう

最近ではビジネスのグローバル化に伴い、競争が益々激しくなって、企業が雇用を支えきれないケースが目立つようになりました。誰もが知っている大企業でも、何千人規模の希望退職を募ったり、リストラを実行したりといったニュースを耳にした方もいるでしょう。

かつて、日本企業は年功序列と終身雇用で社員の生活を保障し、一旦大企業に就職すれば、後はエスカレーター式に出世して、給料が右肩上がりの安定的な生活を送ることができる時代がありました。

ところが、最近では大企業でのリストラも珍しいことではなくなった上に、これまで勤めてきた会社から新たな職を探そうにも条件面でかなり悪くなったり、最悪の場合、次の職が見つからなかったりする「サラリーマン不遇の時代」に突入しているのです。

日本では特に大企業に入社すると、安心感から自分を成長させることを怠り、日々与えられた業務にだけ取り組むという社員も決して少なくはないはずです。このような場合、大企業であればあるほど、実力の伴わないプライドだけが大きくなり、いざ長年勤めてきた会社を去らなければならなくなった時に、自分の思う自分自身の価値と実際の評価の大きなギャップに驚愕することになるのです。

取り返しのつかない年齢になって「あの時にこうしておけばよかった」と後悔しないためにも、会社に人生のすべてを託すのではなく、自分の人生は自分で切り拓いていくという強い意志を持つ必要があります。

セルフマーケティングで自分の価値を高めよう

セルフマーケティングで自分の価値を高めよう

それでは、どのようにすれば自分で自分の人生を切り拓き、望むキャリアを実現していくことができるのでしょうか?

その鍵を握るのが「セルフマーケティング」といえるでしょう。

マーケティングとは一般的に、企業の製品やサービスを販売する際に活用される戦略ですが、そのマーケティングを自分の価値を高めるために利用していくのがセルフマーケティングです。

マーケティングでは、具体的な目標を決定した後で、徹底的に市場をリサーチし、自社のポジションを定め、価値ある製品を開発し、プロモーションなどを通して適切に顧客にアピールして、販売につなげていきます。この企業のマーケティングプロセスと同じように、自身を企業の製品と見立ててマーケティング戦略を立てることにより、自身の価値が高まって企業から本当に必要とされる人財となり、望むキャリアを実現できるようになるというわけです。

そのために今自社でどのような人財が望まれているのかというニーズを把握したうえで、会社の期待に応えられるレベルにまで自分の強みを磨いて、業績アップにつながる役割を果たしていく必要があります

ここで重要になってくるのが、「あなたが好きなこと」「あなたが得意なこと」、そして「市場に大きな需要があること」の3つの要素です。この3つが重なるところに自分のポジショニングを図ることによって、圧倒的に企業から必要とされる人財となり、高い報酬も決して夢ではなくなります。

たとえば、自己分析を行い、あなたが人と話すのが好きで、他の誰にも負けないようなコミュニケーション能力が最大の強みだとしましょう。このような特徴を兼ね備えている方は、ビジネスにおいては営業の分野で非常に高い成果を上げることができるはずです。特に営業という仕事は売上を上げるために必要不可欠なプロセスであり、どのような企業にとっても優秀な営業担当者は喉から手が出るほど欲しいと思っているのです。

自分の強みを理解して磨いていれば、たとえ今の会社の経営が傾いて辞めざるを得なくなったとしても、自分の価値をマーケットで適切にアピールし、良い条件の会社で働き口を見つけて、さらなる活躍を果たすことも決して不可能なことではなくなります。

自己投資で自分の「製品価値」を高め続けよう

自己投資で自分の「製品価値」を高め続けよう

「セルフマーケティング」を実施しても、自分の価値を高める活動に終わりはありません。自分の価値を高めることを怠ると、いかに好きで、得意なことであっても、すぐにライバルに追い抜かれることも十分に考えられるからです。

そこで重要な鍵を握るのが「自己投資」。

企業が投資をしなければ生き残れないのと同じように、個人も自己投資を行って新たな知識やスキルを身につけて自分の「製品価値」を高め続けなければ、厳しいビジネス競争の中で生き残れるはずはありません。ビジネスの世界では適切に投資し、努力した者ほど生き残れる可能性が高まるということは自然の理といえるのです。

かの有名な福沢諭吉は、その著著『学問のすすめ』の中で、「学びて富み、富みて学ぶ」という考え方を述べています。これは「学ぶことによって人間的に豊かになり、金銭的にも豊かになる。そのようにして得た富を無駄遣いすることなく、学びに再投資すれば、富は益々増えていくことにつながる」という意味です。つまり、常に「学び」という自己投資を続けることが、自分の価値を高めて望む富を手にする唯一の方法といっても過言ではないのです。

どんな大企業に勤めていても、結局頼れるのは自分自身のみです。明確なキャリアビジョンを描き、セルフマーケティングを実践して自分の価値を高め続ければ、きっと自分の望む人生を実現することができるようになるはずです。

【執筆者プロフィール】

安部徹也(あべてつや):All About「マーケティング戦略を学ぶ」ガイド。1990年九州大学経済学部経営学科卒業後、太陽神戸三井銀行(現、三井住友銀行)に入行。同行退職後に渡米し、Global MBAを取得する。MBAホルダーの中でも特に成績優秀者のみが入会を許可されるトップMBA組織であるβΓΣ(ベータ・ガンマ・シグマ)会員。ビジネススクール卒業後に経営コンサルティング、およびビジネス教育を手掛ける事業にて起業。MBA Solutionを設立して代表取締役に就任する。テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』など、テレビ出演多数。主な著書に『MBA戦略思考の教科書』(かんき出版)、『最強の「ビジネス理論」集中講義』(日本実業出版社)などがある。

  
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