ロジカルシンキングとは、物事を筋道立てて、論理的に考える方法のことです。論理的な思考が身につくと、一見難しい情報でも、内容をすばやく理解して、誰にとってもわかりやすい情報に組み立て直せるようになります。
その結果、「問題をすばやく解決すること」や「説得力をもって伝えること」ができるようになり、次第に周囲から一目置かれる存在になることができます。
ロジカルシンキングは練習次第で誰でも身につけることができるスキルです。一番の基本は、論理展開のパターンを身に付けること。論理展開にはいくつかのパターンが存在し、そのパターンを習得することで、さまざまな事柄に応用することができるようになるのです。
まずはロジカルシンキングの代表的な論理展開パターンである、演繹(えんえき)法と帰納(きのう)法をご紹介します。
パターンその1:演繹法
「果物は甘い」という前提と「ピーマンは甘くない」という事例から導き出される結論は……「ピーマンは果物でない」。
演繹法は、前提(一般的な事柄や事実など)に事例を加えて、結論を導く方法です。一般的な前提に事例をあてはめて一つひとつ証明していくので、結論により強い説得力を持たせることができます。一方で、前提に間違った情報や先入観が入っているとおかしな結論になってしまうことがあるので、結論がでたら少し間をおいて、その結論が本当に正しいかどうか疑ってみることも大切です。
演繹法はビジネスシーンにおいて、営業販売などの場面でよく使われます。例えば、
「美白化粧品がよく売れている(前提)」
↓
「A店は美白化粧品の品揃えが悪い(事例)」
↓
「A店には美白化粧品を勧めると販売がうまくいきやすい(結論)」
というように論理展開していくことができます。
パターンその2:帰納法
「バナナは甘い」「りんごは甘い」「ぶどうは甘い」という事例から導き出される結論は……「果物は甘い」。
いくつかの具体的な事例の共通点をまとめることによって、一般的に通用するような法則や原理を導き出すことを帰納法といいます。より多くの事例から類似点をまとめあげることで、客観的に説得力のある結論を導き出すことが可能となります。ただし全ての事例を取り入れない限り、100%正しい結論を出すことはできません。そのため、帰納法は帰納的推理ともいわれています。
帰納法は、商品の開発などの場面でよく使われます。例えば、化粧品業界で良く売れている商品A~Cの特徴が次のようであったとします。
化粧品A:美白をキャッチコピーにしている
化粧品B:美白効果が抜群というクチコミで人気
化粧品C:CMに色白で美しい肌の女優を起用している
A~Cの特徴から、良く売れる化粧品には「美白」という共通点があることが分かります。結果として、「美白効果の高い化粧品Xを開発すると良い」という結論を導き出すことができます。
ビジネスシーンから私生活に至るまで、解決したい問題は次から次へと起きるもの。こういった問題の解決には、ロジカルシンキングの代表的な思考ツールであるロジックツリーが役に立ちます。
ロジックツリーとは、ある物事を「分析」・「検討」するときに、その論理の展開をツリー(樹木)状に表す考え方のこと。ロジックツリーを正しく構成すれば、問題の全体像を明確にすることができます。
ロジックツリーには用途によってさまざまな種類がありますが、今回はその中から、WHYツリーをご紹介します。WHYツリーは、「なぜ?」を繰り返して物事を要素に分解していくもので、問題の原因を探り出すのに適しています。
WHYツリーの作り方
1:問題や解決したい課題を出発点に設定する
2:出発点の問題を「なぜ?」と考えながら、物事を分解していく
3:2を繰り返し、問題の原因を探っていく
例えば、「肥満化」が出発点の問題のWHYツリーはこのようになります。
「肥満化」の原因として、「摂取カロリー増加」「消費カロリー低下」が考えられます。さらに「摂取カロリー増加」の原因は、「食べ物の摂取カロリー増加」「飲み物の摂取カロリー増加」……といったふうに細かく分解していくことができます。
ロジックツリー作成のもっとも重要なポイントは、「個々に見てダブりがなく、全体的に見てモレがない」ように分解すること。例えば、上の図で「消費カロリー低下」の原因を「運動不足」「体質の変化」という2つの切り口で分解したとしましょう。しかし「体質の変化」の原因は「加齢」のほかに、「運動不足」ということも考えられるので、上下でダブりが生まれてしまうため、再度、切り口を検討し直す必要があります。
また、上の図では「生活習慣」などの原因のモレも生まれています。モレなくダブりなく、丁寧にツリーを組み立てていきましょう。
ロジカルシンキングを活用すると、難しい問題の構造が明らかになり、単純化して捉えやすくなります。まずロジカルシンキングの練習として、身近な疑問や悩み事を例に、ロジックツリーを作ってみてはいかがでしょうか。悩んでいたことの原因がシンプルな言葉で表わされ、案外あっさり解決してしまうこともあるかもしれません。練習を重ねるうちに、ロジカルシンキングが身につき、気がついたら説得力もアップしているでしょう。説得力がアップすれば、商談やプレゼンなど、ビジネスシーンにも活かせますね!
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