普段の何気ない態度や行動が、あなたの印象を決めているかもしれません。「文字を書く」という行動の結果である「筆跡」も、読み手に、その人が「どんな人なのか」「どう思っているのか」などの印象を与えます。例えば、起筆(文字の書き始め)が真っ直ぐであれば『素直』な印象が、ひねっていれば『理屈っぽい』印象が、相手に伝わるのです。
そこで今回は、筆跡診断士・マダム忍田さん直伝の、筆跡を意識した「伝えたい想いが相手に伝わりやすくなる文字の書き方」をご紹介します。
手紙を送る相手への気持ちを込めつつ、以下の点に注意して文字を書いてみましょう。
「これからも可愛がってもらいたい」という想いを、上司や先輩に伝えたい場合
文字の上の突き出し部分(縦線)の長さを短めに書く(例:「お」)
文字の上の突き出し部分が長いと、「人の上に立ちたい」という欲が伝わってしまい、相手への敬意が伝わりにくくなります。後輩として可愛がってもらいたいのなら、突き出し部分を短く控えめにするのが良いでしょう。
文字の中の空間はしっかりと空けて書く(例:「疲」)
文字の中の空間がつぶれていると、心身の疲れや余裕のなさが伝わってしまいます。「元気な後輩」という印象を与えたいなら、空間はしっかりと空けましょう。
文字のハネは与えたい印象に応じて強弱を調整する(例:「れ」「さ」)
文字のハネからは、責任感の強さが伝わります。上司や先輩に、グイグイと1人で仕事を進められる「しっかりした後輩」という印象を与えたい場合は、ハネを強く書きましょう。一方、「放っておけない後輩」という印象を与えて可愛がってもらいたい場合は、ハネの勢いは弱めにしましょう。
「これからも仲良くしてもらいたい」という想いを、同僚に伝えたい場合
文字の上の突き出し部分(縦線)の長さを短めに書く(例:「あ」)
誰かに仲良くしてもらいたいという想いを伝えたいのであれば、前述の通り、文字の上の突き出し部分は短めに書くのが良いでしょう。この部分を短く控えめにすることにより、「協調性がある」という印象を与えることもできます。またこの部分が長くなると、お礼状などでも相手への感謝が伝わりにくくなるので注意してください。
濁点は文字に近づけて丁寧に書く(例:「が」「ご」「ざ」)
濁点の書き方からは、書く人の丁寧さが伝わります。「真面目で信頼できる」という印象を与えるためには、それぞれの文字に近づけて丁寧に書きましょう。
「安心して欲しい」という想いを、両親に伝えたい場合
文字のハネは強く書く(例:「元」「気」)
前述の通り、文字のハネが強いと、責任感が強い印象を与えます。両親に安心してもらいたいのなら、責任感を持って生きていることが伝わるように、力強くしっかりとハネを書きましょう。
文字の横線は等間隔に書く(例:「気」)
文字の横線の間隔が乱れていると、心身の調子が悪い印象を与えてしまいます。意識的に等間隔で書きましょう。
句点は大きく書く(「。」)
句点は元気のバロメーターです。大きくしっかりと書きましょう。
さりげない好意を、異性に伝えたい場合
文字上の突き出し部分(縦線)の長さを短めに書く(例:「よ」)
このような場合でもやはり、文字の上の突き出し部分は短くしましょう。控えめで、陰で人を支えようとする姿勢が相手に伝わり、さりげない好意を伝えるのに適しています。
文字の偏(へん)と旁(つくり)は近づけ過ぎない(例:「願」)
文字の偏と旁の距離で、「心の広さ」を伝えることができます。近づき過ぎていると、「聞く耳をもたない」「猪突猛進」な印象を与えるので、バランスよく離して書きましょう。
オンラインでのコミュニケーションが主流になって久しいですが、想いの込もった手書きの魅力が見直される機会も増えています。1日10分でも文字を書いて、手書きならではの良さを感じてみてください。そして、しっかりと相手に想いが伝わるように、文字の書き方を意識して、お礼やご挨拶文を書いてみませんか?
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