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2016.11.30

食を学ぶことは、家族の心と体を救うこと。愛情こめて作った手料理に秘められた底力

好きなことにまつわる資格を取得して仕事に生かす人がいる一方で、必要にかられて資格を取得し仕事に生かす人もいます。今回お話を伺った宮川順子さんもその一人。料理嫌いだった彼女が料理家となった契機と、食の重要性を痛感したエピソードなどを語っていただきました。

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料理嫌いだったOLが一転! 毎日台所に立ち、料理家となった転機とは?

現在、料理家として活躍中の宮川順子さん。調理師、フードコーディネーターの資格を持ち、「MIIKU日本味育協会」代表を務める傍ら、味育(食育)コンサルタント(日本食育学会会員)、料理・パン・洋菓子教室を主宰するなど、食に関するプロフェッショナルとして活動されています。そんな宮川さんですが、かつては、自炊とは無縁の生活を送っていたそうです。

「正直言って、料理が好きではありませんでした。食の重要性も理解していませんでしたし、食事は外で簡単に済ませればいいと思っていましたね。結婚したときも、毎日台所に立つことは到底考えられませんでした」(宮川さん)

そんな宮川さんが毎日料理を作るようになったのは、お子さんが3歳になった頃だったそうです。

「生後3ヵ月の頃から、息子の体中に赤い発疹が出始めました。アトピー性皮膚炎でした。当時はインターネットもなく、病気に関する情報も十分ではなかったので、原因を追究することはもちろん、有効な治療法すら見つかりません。そんな中、さまざまな病院へ出向き、多くの医師と話しをする過程で『食事を通じて体質を変えてみては?』というアドバイスを受けたのです。食事を通じて体質を変えることは長い年月を要しますし、1日3食の食事を毎日作り続けることはとても大きな負担になります。しかし、当時の私にはやるしかなかった。毎日、料理を作り続けることが、息子のために母親としてできること! と心に決め、苦労は承知の上で台所に立つようになりました」(宮川さん)

毎日料理を作るといっても、何をどう作ったらいいのか分からない。料理をあまりしなかった人にとっての壁が、宮川さんにも立ちはだかったそうです。

「テレビの料理番組は片っ端から見ました。テレビの前に座って、メモをとる毎日。新聞やチラシの料理コーナーも切り抜いていました。もちろん、最初は失敗の連続。トライ&エラーを繰り返す日々でしたよ。しかしそんな中で気づいたのです。家庭料理は、煮る・焼くがほとんどで、簡単な作業の連続だということを。そう考えると、料理って意外に難しくないと思えたんです」(宮川さん)

しかし宮川さんの場合、料理を作って息子さんのアトピー性皮膚炎を改善するという目的がありました。ただ料理を手作りするだけではなかったそうです。

「息子は、加工食品に含まれている添加物のほとんどに反応しました。そのため、パンやお菓子、調味料やドレッシングに至るまで、息子が口にするものすべてを無添加にする必要がありました。ソーセージやハム、かまぼこ、梅干し…普段何気なく食べていた食品を、自分の手で一から作ることは容易ではありませんでしたが、試行錯誤を重ねるうちに、だんだんとコツがわかってきましたね。成功体験を積み上げることで、自然と自信がついてきて、料理をすることが楽しくなってきたんです」(宮川さん)

手作り料理をご近所にふるまうことがきっかけで、料理教室を開くことに

「毎日の朝と昼、おやつ、そして晩と、常に料理をしていたので、我が家からいいにおいが漂っていたのでしょう。近所の方から『いつも美味しそうなにおいがするわね』と言われるようになったんです。そう言われるとこちらも嬉しくなりますので、おすそ分けをするようになりました。その結果、『私にも作り方を教えてほしい!』というオーダーを受けるようになり、それから我が家で定期的に料理教室を開くようになりました」(宮川さん)

これといった資格はないけれど、趣味の延長として料理を教えることになった宮川さん。その評判が徐々に広がっていき、地方誌の取材を受けることもあったそうです。そこで必要となったのが、自身の肩書だったのだとか。

「自分が何者かを簡単に紹介するためには、肩書が必要でした。同時に、人様に自信を持って教えるために、改めて基礎からしっかりと料理の勉強をはじめました。オープンカレッジに通って栄養学を学びながら、食とアレルギーをテーマにしたセミナーや勉強会に積極的に参加していましたね。そうしているうちに、調理師、フードコーディネーターなどの資格を取ることができました」(宮川さん)

「私と同じ苦労をしないで済むために…」料理を手作りすることの大切さを教えたい

息子さんのアトピー性皮膚炎をきっかけに、食の重要性を実感した宮川さん。簡単でおいしい家庭料理を手作りすることの大切さを多くの人たちに伝えたいとの思いで、現在も精力的に活動されています。

「私は、レシピをお伝えすることよりも、料理を手作りすることの大切さをお伝えしたいと思っています。私が体験したように、アレルギーを持ったお子さんや、メタボを気にされているご主人、もちろんご自身の体調管理などもそうですが、食が家族の体を支えているということを広めていきたいのです。
現在、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味といった基本的な味覚の感覚が弱くなっている人が増えています。これは、調味料や添加物が多く、味付けの濃い食品に慣れてしまったことが原因。中には、忙しさのあまり、ゆっくり時間をかけて味わうことができず、ジャンクフードなどで簡単に済ませてしまっている人もいらっしゃるでしょう。もちろん、たまになら良いのです。しかし、毎日の食事の基本は、旬の食材をもとに献立が考えられていて、天然の素材を生かした調理方法や味付けがなされた、家庭の味なのです」(宮川さん)

食に関する必要な知識を学ぶことは、健やかに生きることにつながる、と宮川さんはおっしゃいます。

「食べることは、生きること。私たちの体は、食べたもので成り立っています。今の自分は、過去の食の集大成です。そこで差がつくのが、食の知識。ユーキャンの『食育実践プランナー』講座 では、健全な食生活を実践するための知識と実践力、指導力の証明となる資格の取得を目指しています。
先に挙げた調理方法や味付けももちろんですが、買い物に行くときに必要となる目利き術、例えば旬の野菜、果物、肉、魚などを購入するとき、どんなところに注意して選んだらいいかといった知識や食事のマナー、お膳立ての正しい作法など、毎日の食生活に役立つ知識を学んでいただきます。これらは仕事に生かせることはもちろん、普段の生活においても大いに応用できますので、まさに一生モノの知識といえるでしょう。
また、『食育実践プランナー』 の資格試験はご自宅で受けることができるので、お仕事をお持ちの方や育児中のママたちにもおすすめですね。食や健康への関心が高まっている今、ご自身の健康を見直すためにも、ご家族の健康を支えるためにも、食についての知識を広げてみてはいかがでしょうか」(宮川さん)

宮川さんの努力の甲斐あって、アトピー性皮膚炎を見事に克服された息子さんは、現在28歳。外食が続いたり疲れが溜まったりしたときなどは、決まって、自宅のご飯を食べて体調を戻すのだそうです。心と体が落ち着くのは、いくつになっても『家庭の味』なのかもしれませんね。

Text:栗山 美絵

【取材協力】

宮川順子(みやがわじゅんこ)さん
1957年生まれ 福岡県出身。料理家 (社)MIIKU日本味育協会代表/味育(食育)コンサルタント(日本食育学会会員)/フードコーディネーター/料理・パン・洋菓子教室主宰/(株)U-CAN食育実践プランナー講座・調理師講座主任講師。長男のアレルギーを機に、親子共々の「食の重要性」を実感し、オーガニック食品による無添加手作りを実践。2人の子供の子育てが一段落後、自分の体験をもとに添加物のない、簡単でおいしい家庭料理を伝えたいと教室をスタート。各種資格を取得後、現在は「心と体に美味しい食卓」の周知拡大を目指し、料理教室を主宰すると共に、食業界のプロや一般に向けて、広く味覚教育講師や資格試験講師を務め、企業や自治体向け商品開発のアドバイザーなども努める。著書に『料理嫌いだった私が「365日×15年」毎日台所に立ち続けた理由(ぴあ)』がある。

なんとなく作っている料理……一度、きちんと学んでみませんか?

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