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2016.11.02

美味しく食べて薬いらず! 暮らしに役立つ「薬膳」の世界

「薬膳」と聞いてどんなものを想像しますか? 苦い漢方薬を使った難しい料理だと誤解している方も多いかと思いますが、実は「身近にある食材に、薬効を求めて作られる美味しい料理」という意味だそうです。今回は、暮らしに役立つ「薬膳」についてご紹介します。

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若い女性にじわじわと人気が高まっている「薬膳」

今回お話をお聞きしたのは、薬膳の学校「本草薬膳学院」の学院長を務める辰巳洋先生。ユーキャンの「薬膳コーディネーター講座」のテキスト執筆と監修も行っていらっしゃいます。辰巳先生いわく、最近では若い女性の間でも薬膳への関心が高まっているとのこと。まずはその状況について尋ねてみました。

「以前は割とお年を召した方が、ご自身の不調や家族の健康のために学ぶことが多かったのですが、ここ5,6年の間に20〜30代の若い女性がぐっと増えましたね。具体的には、冷え性や生理不順、生理痛、不妊症など女性特有の悩みを抱えている方が、食事で体質改善をしたいと言って受講するケースが目立っています。また、学んでいくうちにどんどん関心が湧いて、薬膳や食事指導に関する仕事に就きたいとおっしゃる人も増えていますよ」(辰巳先生)

薬膳は本来、美味しくて楽しいもの

そもそも「薬膳」とはどのようなものを定義するのでしょうか。それは、中国から古く伝わる伝統医学「中医学」と深く結びついているそうです。

「『中医学』が日本に伝えられて発展を遂げたものを『漢方』と呼んでいます。ですので、日本では『漢方医』、『漢方薬』と呼びますが、中国ではお医者さんのことを『中医師』、薬のことを『中薬』と言います。『薬膳』 はあくまでも『中医学』の一部分で、陰陽五行(※1)や五臓六腑(※2)、五気六味(※3)をベースにするなど基本の考え方は一致しています。
薬膳は身近な食材を使うものですが、漢方薬を全く使わないかというと、そうではないんです。ただ、あくまでも食材をメインにし、漢方薬はクコの実や蓮の実など、味の良い一部分のものだけを取り入れています。まずかったら毎日食べるのが嫌になっちゃいますからね。続けてこそ効果があり、やがて目的を果たすものなので、やはり苦痛であってはならないのです」(辰巳先生)

なんとなく難しいイメージがある薬膳ですが、実は普段の生活の中で自然と取り入れているものだと、辰巳先生はおっしゃいます。

「例えば、寒い時期によく食べられるニラや唐辛子は身体を温める作用がありますし、逆に清熱作用のあるスイカは、やはり夏に食べますよね。季節に合わせて人が自然と口にしているものは、その時の身体に必要なものなのです。このような考え方も『薬膳』の一部。ですから薬膳のレシピを見てみると、知らず知らずのうちに実践していた生活の知恵がたくさん含まれていることに気づくでしょう。
『薬膳』の薬の字は草、つまり植物性のものを指しています。膳の字の偏(へん)は肉月、つまり肉。旁(つくり)の上の部分は羊、下の部分は中国の古い楽器と口を表しているんです。すなわち、『薬膳』の語源は『音楽を聴きながらおしゃべりを楽しみ、野菜と肉を美味しく食べる』ということなんですよ。ね、なんだか楽しそうでしょう(笑)」(辰巳先生)

スーパーマーケットを、自分の薬局代わりに?

ユーキャンの薬膳コーディネーター講座では、テキストの順番にそって薬膳を体系的に学ぶことができます。まずは中医学の基礎を習得し、食材が持つ性質や効能について知った上で薬膳のレシピを実践するという流れなので、それぞれのメニューがどんな症状に効果的なのか、理解しやすい構成になっています。
では、実際に日々の生活でどのように活かしていったらよいのでしょうか?

「『薬膳』は薬ではないので、薬局で手に入れるものではありません。あくまでも自分の体調を考慮しながら身近な食材を使って自分で作るもの。ですからスーパーをご自身の薬局代わりに使って欲しいですね。普段食材を買いに行っても、きっと『今日は◯◯が食べたいからこれを買おう』とか、『これが安いから買おう』、くらいにしか考えないと思います。でも薬膳を勉強していくと、『今日の体調は◯◯だから、これを選ぼう』という考え方ができるようになるんです。そうなったらしめたもの。続けていればきっと健康や美容にも効果を発揮しますし、慣れたら作るのもラクになると思います。確かに覚えることはたくさんありますが、繰り返しテキストを開いて日々取り入れているうちに、自然と覚えられるようになるはずです。一生役に立つ知識ですから無駄はありません。ぜひ楽しく学んでください」(辰巳先生)

美味しく食べて薬いらずとは、まさにいい事ずくめ!ぜひ習慣として実践していきたいですね。

(※1)陰陽五行

陰陽とは、宇宙の万物はすべて陰陽に分類されていること。五行とは、木・火・土・金・水の五つの要素のことで、それぞれに肝・心・脾・肺・腎や筋・脈・肉・皮毛・骨などが属する。バランスが崩れると、心身の病気へとつながるという東洋医学の考え方。

(※2)五臓六腑

人間の5つの臓(肝・心・脾・肺・腎)と6つの腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)を指す言葉。それぞれに役割や機能があり、活動するときは互いにバランスを保ち、病気のときは互いに影響すると考えられている。

(※3)五気六味

食材や中薬の性質を「熱・温・平・涼・寒」に分類する。これらは体質、疾病の寒熱性質と相対して定義され、合わせて五気という。また、食薬の味覚においては「酸・苦・甘・辛・鹹・淡」の6つに分類し、人間の五臓に働きかけるそれぞれの作用があるという考え。

取材・文/河辺さや香

【取材協力】

辰巳洋(たつみ・なみ)さん
北京中医学院(現北京中医薬大学)卒業。中国での医師・主治医師・医学雑誌編集者を経て1989年来日し、病院の漢方相談、中医学・薬膳学の講師、出版社の編集協力を行う。順天堂大学医学部にて医学博士取得。2002年「本草薬膳学院」を創立。学院長となる。日本国際薬膳師会会長、中国薬膳研究会(北京)常務理事・国際薬膳師資格認定審査員、世界中医薬学会連合会(本部北京)主席団執行委員など多くを務める。ユーキャン「薬膳コーディネーター」講座のテキスト執筆、監修を担当。

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