「セルフメディケーション」という言葉をご存知でしょうか?英語だと分かりにくいかもしれませんが、日本語で「自己治療」という意味になります。つまりセルフメディケーションとは、自身の健康を責任持って管理し、軽い体の不調は自分で処置することです。
私たちは、体調不良のとき、病院で受診します。しかし、ときには日常的な健康管理やOTC医薬品で治癒できる程度の軽度な症状もあります。このようなときに、セルフメディケーションで体調回復できれば、メリットが多いのです。
例えば、セルフメディケーションには、大きく分けて以下6つのメリットがあります。
●健康管理の習慣が身につく
●医療や薬の知識を得られる
●医療機関で受診する手間と時間を省くことができる
●通院を控えることで、本当に病院での治療が必要な人へ医師の手が届きやすくなる
●通院が減少すれば、国民医療費の増加を防げる
●平成29年1月より施行されるセルフメディケーション税制で、所得控除が可能になる
上記のメリットを得られるセルフメディケーションを行うためは、自身の健康を守るために積極的に自身の健康管理に努めることが重要です。日々適度な運動を行い、栄養バランスの良い食事をとり、睡眠時間をしっかりとったり、健康診断などで体のことを把握しておくようにしましょう。その上で体調不良になった場合、軽度の症状ならOTC医薬品を活用していくとよいでしょう。
セルフメディケーションに欠かせないもの、それが「OTC医薬品」です。OTC医薬品とは、薬局やドラッグストアなどで売られている市販薬のこと。「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略で、薬をカウンター越しに売る様子がその名の由来です。
OTC医薬品は処方箋不要で購入できるため、軽度な体調不良なら通院せずに手に入れられます。しかし、自己判断で医薬品を購入しなければならないため、OTC医薬品について不明点がある場合は、専門知識を持った人に相談して正しい使用方法などを教えてもらうのが理想です。その相談役である職種の1つが、薬局にいる医薬品のスペシャリスト「登録販売者」です。
薬局やドラッグストアには、OTC医薬品が数多く棚に並んでいるため、「どの薬がベストなんだろう?」と悩むことがあるでしょう。そのようなときに相談相手となるのが、薬剤師と登録販売者です。
かつてはOTC医薬品の販売も、国家資格である薬剤師が行わなければなりませんでした。しかし、2009年に施行された薬事法改正により、薬剤師とは別の医薬品販売専門資格が誕生。それが登録販売者です。
登録販売者は、薬を扱う専門的な立場から、OTC医薬品の効能や使い方について説明し、お客さまのセルフメディケーションを支えます。かぜ薬・解熱鎮痛剤・消化薬など、セルフメディケーションで使われる一般用医薬品の大多数を占める「第二類・第三類医薬品」を、薬剤師がいなくとも、登録販売者がいれば販売できるため、多くの薬局やドラッグストアで登録販売者が活躍しています。一方、より取扱に注意が必要な「第一類医薬品」「要指導医薬品」は薬剤師のみにしか扱えません。
「セルフメディケーション税制」が施行されると、登録販売者のニーズは今後さらに高まるでしょう。登録販売者の資格は、OTC医薬品を扱うあらゆる小売業への就職・転職に強く、資格を保有していれば全国どこでも働くことができます。また、お店によっては資格手当があったり、時給を高めに設定しているところも。資格を取得するのに学歴や実務経験といった条件も不要なので、今、最も旬な資格の1つといえるでしょう。
健康管理や医療・薬の知識を身につけ、自身で健康生活を維持していくセルフメディケーション。そして、それを支えるOTC医薬品と登録管理者。これからは、自分の健康はまず自分で守る時代です。今後さらに注目されるであろう3つのキーワードを、ぜひ覚えておきましょう。
ここ数年で人気が上がってきているのが、登録販売者の資格。薬剤師不足を補うために2009年に新設された資格で、医薬品販売の専門家として急速に注目を集めています。一体どんな資格なのか、 ユーキャン「登録販売者講座」質問回答担当講師である、島崎英雄さんにインタビューしてきました。