新年度に生活の環境が大きく変わった人々が、ゴールデンウィーク明けごろに感じる心身の不調を「五月病」と呼びます。新しい環境に適応しようと気を張り詰めて頑張っていたところに、ゴールデンウィークなどの長い休暇が入ると、急激に緊張の糸がほぐれ、疲労が噴出してしまうことがあります。その結果、休暇明けに、体調不良や憂うつ感、意欲の低下が生じるのが「五月病」です。
「五月病」は、新入生や新入社員なら誰にでも生じる可能性のある一過性の不調ですので、あまり心配することはありません。無理せず日常生活を続けていくうちに環境に慣れ、心身のバランスを取り戻していけることが多いです。
しかし、五月病を感じたときには、その症状を長引かせないよう、いくつかのポイントを心がけて生活することが必要です。とくに重要なポイントを3つ挙げますので、参考にしてみてください。
「五月病」にかかると、学ぶ意欲、働く意欲を持てなくなり、さまざまな疑念が湧いてきます。しかし、意欲低下や疑念は、一過性の不調が生じさせている場合が多いものです。あまり深く考えすぎず、とりあえず今は、目の前のことを少しずつコツコツとこなしていきましょう。
「五月病」を脱するには、自分なりの無理のない生活ペースを確立することが必要です。学業、仕事を中心に据え、毎日同じ時間に就寝・起床する、栄養のある食事を一定のリズムで食べる、就寝前には入浴で疲れをほぐす、といった基本的な生活ペースをつくっていきましょう。気晴らし程度ならよいですが、頻繁な飲み会や夜遊びの誘いなどは、生活リズムを乱す元になりますので、お断りするのが賢明です。
今感じている憂うつ感や不安感、疑念を、話しやすい先輩などに打ち明けてみましょう。じっくり話を聞いてもらい、理解してもらったり、共感してもらったりするだけで、気持ちが楽になるものです。学校や職場の相談室を利用し、環境にあった具体的なアドバイスをもらうのも有効です。
五月病は、新年度に環境の変化があった人なら、誰でも経験する可能性のある不調です。しかし、事前に発症のリスクと克服のポイントを理解していれば、早めに回復することができます。ぜひ、正しい知識と合理的な対処方法を頭に入れておいていただければと思います。
【執筆者プロフィール】
大美賀直子(おおみかなおこ):
All About「ストレス」ガイド。メンタルヘルスの分野を中心に執筆するジャーナリスト、カウンセラー。精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つ。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレスやメンタルコントロールに関する著書・監修多数。
五月病は一過性の不調の場合が多い……とはいえ、なかなか気分が貼れないときは、ストレスがたまってしまっているのかも。ここでは、 ストレスのサインと、ストレスがたまってしまったときの対処法をご紹介します。